JABEE

JABEE受審に関する6つの質問

問1

学習・教育目標は、「世界に通用する実践力のある開発型技術者をめざす人材の育成」とありますが、「世界に通用する」「実践力のある」「開発型」の意味と、「めざす」と言う言葉が入っている理由を教えてください。

 

 

1.

 「世界に通用する」というのは、国際理解、技術者倫理など世界のどこで活躍しようとも必要となる教養と判断基準を持ち、意志の疎通を図るに十分な語学力を有することです。
徳山高専では、国際比較文化論や技術者倫理、理工系の基礎科目の修得、さらに、ネットワークなどを活用した英語教育により、この力を育てています。

2.

 「実践力のある」というのは、問題を見つけだすために情報を収集・分析する力 があり、自主的に自立してその問題の解決に取り組む意欲と、その成果を人に伝えるために必要な表現力があることです。
徳山高専では、5年生の卒業研究、専攻科の総合実験に加え、恵まれたコンピュータ環境を活用した情報教育により、この力を育てています。

3.  「開発型」というのは、問題に応じて知識を体系化して問題の解決方策を見つけることができること、また、新しい情報を理解して、既存の知識と合わせて、独自の新しい情報を発信できることです。
徳山高専では、本科の創造演習・制作、専攻科の総合演習、インターンシップ、特別研究により、この力を育てています。
4.  技術者としての学習は、高専に在学中のみで完結するわけではありません。
「就職した後に、その企業独自の訓練と然るべき場が与えられれば、開発型技術者として世界に通用する人材」という意味で「めざす」としているのです。 同時に、「自ら目標を定めて成長していくことが可能な人材」と言う意味も込められています。
なお、徳山高専の卒業生の能力として何が保証されているかという点については、本ホームページで公開されているシラバスなどをご覧頂けば、ご理解頂けるものと思います。

 

問2

技術者教育認定(JABEE)を、受審することとした理由は何ですか。特に、徳山高専の教育にどのような改善がなされると考えていますか。

 

 

1.

 JABEEを受審するためには、学習・教育目標だけでなく、教育内容、教育システムなどを、すべて文書化するとともに、裏付けとなる資料やデータも集めねばなりません。その作業を通じ、まず、本校の教官自身が、教育に関する理念を再確認することができ、また、本校の現状についての共通認識を持つことができます。
その結果、教官同士の連携がより緊密になり、本校の教育水準があがります。

2.

 JABEEは、外部の統一的な基準に基づく評価ですから、その受審により、本校の優れた点、弱い点が明らかになります。優れた点については、本校の教育の特徴としてさらに伸ばすことになり、弱い点については、その改善に努めることになります。
その結果、世界の一般的な水準以上でかつ本校としての特色ある教育ができるようになり、また、そのことが社会に認められます。

3.  JABEEの基本には、公開という原則があります。公開するということは、その実現を約束し、責任を負うということです。授業の内容なども、その到達目標や評価の方法と合わせて公開されることになります。
その結果、教官は学生の学習成果を約束したレベル以上にするために最大限の努力を払うことになり、学生は、学習の目標や成績の評価の方法がハッキリするので、学習意欲が増すことになります。
4.

 以上のような、教育改善という直接的な効果に加え、JABEEの認定を受けることは、本校の社会的な認知度を高めることになり、間接的に本校卒業生を支援することにもなります。また、本校に進学しようとする中学生やその保護者の方々にとっては、不安なく本校を選択できるようになります。

 そのようなことを、総合的に勘案して、JABEEを受審することとしたのです。

 

問3

JABEEの認定を得ることが、在校生、本科卒業生、専攻科修了生それぞれにとってどんなメリットがあるのでしょうか。

 

 

1.

 在校生にとっての最大のメリットは、教育の改善により、従来にも増して充実した学習ができるようになるということです。あわせて、国際水準と認められた学習目標や学習成果の評価方法により自らの力を確認できるので、自信も持てます。
また、本校の教育についての社会的評価が高まれば、就職、進学の幅がさらに拡がるものと考えられます。

2.

 本科卒業生にとっては、国際水準から見た自分の学習到達レベルがハッキリしているため、自己研鑽の方針が立てやすくなります。また、就職、進学先においては、力量が明確なので、自分の能力にあった場に配属される可能性も高まると考えられます。さらに、JABEE認定校で教育を受けたということは、名実ともに力を持つ技術者としての自信につながります。

3.  専攻科修了生にとっては、JABEEの認知度の高まりと国際的な相互認証の進展につれ、JABEE認定プログラム修了生であることの有利さが増していくものと考えられます。現時点でも、認定プログラム修了生については、技術士の一次試験が免除され、4年間の修習プログラムを経れば、技術士の二次試験を受験することができます。

 

問4

JABEE受審プログラム「設計情報工学」と、これまでの徳山高専の教育との関係はどうなっているのでしょうか。

 

 

1.

 JABEE受審プログラムは、これまで徳山高専が行ってきた教育の一部を、国際的な基準と比較するために取り出したものです。即ち、本科の4,5年生と専攻科における教育を受審プログラムとしたもので、これまでの徳山高専の教育と基本的に変わるものではありません。
もちろん、審査基準に照らして、改善した点はありますが、それは、本校の教育全体の改善であって、受審プログラムを改善したのではありません。

2.

 本科・専攻科ともに、3つの学科に分かれていますが、受信プログラムではそれを一本化して、「設計情報工学」という名前にしました。これは、専門とする知識や得意分野は違っていても、目標とする技術者像は同じであり、また、教育方法にも共通するところが多いため、本校の教育全体をまとめて評価してもらうことにしたものです。
これからの技術者は、自らの分野の専門知識の深さが大切なのはもちろんですが、他の専門分野についての理解も求められるようになります。そういう意味では、本校の教育の特色である複合学科の考え方をさらに進めたものとも言えます。

3.  「設計情報工学」という概念については、高度情報化社会において開発型技術者として活躍するために必要とされるものであり、企業の方々へのアンケート結果から見ても、社会のニーズに合った概念であると考えています。
ただし、本校の卒業生が、「設計情報工学科」を卒業するということになるわけではなく、それぞれの専門の学科を卒業するものであることは、従来どおりです。

 

問5

JABEE受審プログラムの対象学生となるのは、いつの時点でしょうか。また、そうなった場合、或いは、そうなるために、特別にやらなければならないことがあるのでしょうか。

 

 

1.

 専攻科への入学をもって、JABEE受審プログラムの対象学生となります。従って、本科の間にコースが分かれるということはありません。

2.

 対象学生になるために、或いは、なったからといって、特別にやらなければならないことはありません。本校の授業をきちんと履修することと、英語の外部試験や専門技術に係る資格取得にチャレンジすることが大切ですが、これらは、いずれにしろ必要なことです。敢えて特別なことがあるとすれば、JABEEとは何かを正確に理解することくらいでしょう。

 

問6

徳山高専の卒業生は、学習・教育目標どおりの技術者になっているでしょうか。また、大学卒業生と比べて、どこが優れているのでしょうか。

 

 

1.

 企業アンケートによれば、徳山高専の卒業生は、国際理解とコミュニケーションに幾分難はあるものの、全体としては、満足されているという結果がでています。会社の規模や方針によっては、本校における学習成果が十分生かされない場合もありますが、仕事の面で本校の卒業生に不満を感じている企業はほとんどありません。

2.

 企業アンケートによれば、徳山高専の卒業生は、誠実さ、専門知識、協調性、行動力、情報技術の点で、大学生より優れていると評価されています。同時に、卒業生の方も、専門知識、情報技術、誠実さを高く評価されていると認識しています。

3.  ロボコンをはじめとする各種コンテストの成績や表彰の実績からみても、学習・教育目標どおりの技術者を輩出していると言えると思います。

 

 

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