国際交流

トビタテ!留学JAPAN大学生コース10期生 エストニアレポート その1

1909107.jpg

 エストニアに来て4ヶ月が経ちました。時が経つのも早いもので、あれだけ悪戦苦闘していた5月が嘘の様です。無事、家も見つかり、ビザも発給され、奨学金も振り込まれ、取り敢えず現地で野垂れ死ぬ心配は無くなりました。

 この4ヶ月はタリン工科大学のAlex教授の下で、Authcoinと呼ばれる認証システムの開発に携わりました。100ページを超える論文を渡された時は死ぬかと思いましたが、ラボメイトの助けも借りつつ、理解を深めていきました。少し専門的なことを書くと、Qtumと呼ばれるブロックチェーンプラットフォームを私たちは利用しています。このプラットフォーム上で個人認証を、第三者機関を通さず行うのがAuthcoinです。スマートコントラクトと呼ばれる、ブロックチェーン上でコントラクトを実行できる仕組みを利用して、簡単なものから実装を始めていきました。周りは修士課程の学生しかおらず、自分の非力さに苛まれましたが、非常に学びの多い時間になりました。
 
1909101.jpg
 また、開発に当たって僕のメンターはドイツに居り、リモートでしたが、積極的にサポートして頂きました。そもそもEthereum等に比べ、Qtum自体の開発が世界的に見ても規模は大きくなく、情報の少ない中での開発でした。しかし、開発経験のある人間が身の回りにいるという環境は、インターネットでは得られない学びを生み出すことを強く実感しました。
 開発に並行して、スタートアップの動きを学ぶという項目も私の留学の目的の一つでした。エストニア最大級のテックカンファレンスであるLatitude59では、世界各国からスタートアップ及び、ベンチャーキャピタル等が集まり、非常に熱狂的なイベントでした。日本からも福岡市が代表してブースを設けており、スマートシティ化について話されていました。日本から世界的なユニコーンが排出されない中、エストニアではSkypeを筆頭にTransferwise等のユニコーンが多数存在していますが、やはり行政との結びつきによるものだと考えます。ホラクラシー的な側面が見られる政府は、企業が事業を行うのに非常に優しい環境であることは間違いがなく、日本にも取り入れていくべきだと感じました。
 その他にも多くのイベントや、人に会う機会に恵まれました。7月には日本から代表団がタリン工科大学に視察に訪れました。教授の計らいで、-governmentについてプレゼンをする機会を頂きました。多くの日本人がエストニアに関心を寄せている事を肌で実感しました。その反面、日本人の表敬訪問がエストニアで忌み嫌われている事実も実感させられました。先日、エストニアのバックボーンとなるシステムに利用されているKSIブロックチェーンを開発しているGuardtime社で話を聞くことができました。日本からの訪問は相当の数で、半年で120件以上あったそうです。その数の反面、ビジネスに繋がったのはごく少数で、ほとんどが情報搾取の形になったまま終わりました。表敬訪問と言う名の時間搾取が数多く発生していたのです。僕がGuardTimeを訪れた際も学生として何がGive出来るかを非常に意識させられました。これを肌で感じることが出来たのも非常に有益な時間でした。
 
1909106.jpg
 また、私生活でも非常に楽しい時間を過ごせました。幸い、現地の友人や、彼女(振られたけど)に恵まれ、エストニアの伝統的なイベント等に数多く参加することができました。特にLaulupidu2019という5年に一度の歌と踊りの祭典の年に来ることが出来たのは幸運でした。エストニア全人口から実に1/10もの人が一度に会するこの祭典では、会場全体で歌を歌います。圧巻の迫力と、その歴史的背景に心を打たれました。その他にもタリン以外の都市にも連れて行ってもらいました。エストニアの田舎の風景はすごく素敵で、大きなログハウスに大型犬と猫がいて、夜には満点の星が見れるような、すごく心地の良い場所でした。8月には休暇を取って、弾丸でヨーロッパ旅行をしたのも良い思い出です。
1909108.jpg
 留学も後半戦が始まり、いよいよ暗黒の厳しい冬も始まりますが、鬱にならないように適度にビタミンを取りつつ人間の生活をしていきたいです。頑張ります。別件ですが、現在メディアを作ろうと思っています。エストニア及び、北欧の市場でポジション確立していこうと思ってるのです。
が、メディアでのマネタイズ経験ある方とか居たら連絡ください。相談したいです。

情報電子工学科5年 城代拓哉
Copyright(c) National Institute of Technology, Tokuyama College. All rights reserved.