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2025年度マレーシアインターンシップ研修プログラム レポート Vol.3

PASMY2025.3.jpg9/6 この日は、ジョージタウンとはペナン海峡を挟んで位置しているバターワースの港からフェリーを用いてペナン島に向かった。
海を渡っているときは、古い住宅街と真新しいビル群がまず目に入った。屋根が赤茶色な住宅はとりわけ目立っており、オフィスやホテルも景観を乱さないようになのか白が多く使われていた。
 ジョージタウンに着いた後はまず朝食を食べた。
ペナン島北東部にある”Norn Micro Roastery”というカフェで、バーガーやポテトといった主食からパフェやティラミスのようなデザートまであった。
甘味に舌鼓を打った後はジュベリー時計台(Queen Victoria Memorial Clock Tower)やマラヤ鉄道ビル(Malayan Railway Building)を見つつコーンウォリス要塞(Kota Cornwalis)に向かった。
コーンウォリス要塞はジョージタウンの成立とほぼ同時期である1786年から1810年にかけてイギリス東インド会社によって建設された。その間にも改築が行われており、最初期は上陸地点近くにあったヤシの木で単純に作ったものだったが、ヨーロッパでのナポレオン戦争の影響を受けて1804年から囚人を用いて石材やレンガの構造に改築されていった。
以前は要塞を囲うようにして堀が設けられていたが、1920年代のマラリア感染から孑孑を増やさないために埋められていった。
現地では武器庫や弾薬庫、大砲を見ることができた。本来であれば礼拝堂も観れるのだが、改装中で見ることができなかった。
その次に3Dトリックアート博物館に行った。
錯覚を用いて乗り物に乗ったり、宙空しているように見えたり水中にいるように見えたりとユニークなトリックアートを体験することができた。
また、猿や梟といった動物から三蔵法師や猪八戒などの西遊記の登場人物と写真を撮る真似ができたりした。おそらく無許可と思われるがゲームフリークの有名ゲームの生き物や、スティーブン・スピルバーグ監督のSF映画に出てくる地球外生命体もおり、ペナン島が華僑の島なのだなと実感できた。
その後は“Penang State Art Gallery”というアートギャラリーに入った。ここではマレーシア出身の芸術家による多彩な作品が無料で鑑賞できた。展示室には油絵や水彩、バティック(ろうけつ染め)、版画、コラージュなど技法も幅広く、同じ国にこれほど多様な表現があることに驚かされた。
印象的だったのは、ペナンやマレーシアを代表する作家たちの経歴と作品が英語とマレー語の両方で詳しく紹介されていた点である。例えば1960年代にローマでも活動し油彩画の名手として国際的に評価されたHo Kay Beng、鮮やかなバティック技法で蝋のひび割れ模様を生かした独自の色彩世界を築いたTay Mo-Leong、インド叙事詩ラーマーヤナに着想を得た神秘的な人物像を描くSyed Thajudeen、版画の第一人者として知られるLee Joo For、独創的なコラージュを発表するEric Quahなど、多くの作家がそれぞれの歩みと技法を示していた。
館内には作家が海外で学んだ経験を地元文化と融合させていることを示す解説が多く、ペナンが交易で栄え多文化が交わってきた歴史が芸術にも息づいていることを感じた。無料でこれほどの質と量の作品に触れられる場所は貴重であり、ペナンがアートの島としても注目される理由を実感できた。
 
9/7 この日は“Penang Bird Park”を訪れた。ここはマレーシアでも有数の規模を誇る鳥のテーマパークで、広い園内には南国らしい植物が生い茂り、その中で数百種におよぶ鳥たちが自然に近い形で飼育されていた。入園してすぐに色鮮やかなオウムやインコが目に入り、檻越しではなく頭上を飛び交う姿は迫力があった。
園内ではマレーシア固有のホーンビルや水辺を歩くフラミンゴ、堂々としたクジャクなどがゆったりと生活しており、間近で観察することができた。中には餌やり体験ができるゾーンもあり、スタッフから小皿を受け取り自分の手から餌を与えると、鳥がすぐ近くまで寄ってきてその軽やかな動きや羽の模様を細かく見ることができた。水辺にはペリカンや白鳥が集まり、池の上を飛び回る小さな鳥たちとともに静かな時間が流れていた。
全体を歩いて回ると、鳥たちの生態を学べる展示や繁殖の取り組みを紹介するパネルもあり、単に観賞するだけでなく保護や研究の場としての役割も感じられた。熱帯の湿った空気の中で多種多様な鳥たちをじっくり観察することで、ペナンの自然の豊かさを肌で実感できる貴重な体験となった。
インターン前日ということもあり、この日はゆっくり休んだ。
 
9/13 最終日にまず向かったのはペナンヒル(Penang Hill)だった。ジョージタウン中心部から車でおよそ30分、標高約830メートルの丘の上に広がる避暑地で、かつてはイギリス植民地時代の高級住宅地としても知られている。
PASMY2025.4.jpgふもとの駅からは急勾配を一気に登る登山電車に乗る。窓から見える森は南国らしい濃い緑に覆われ、勾配が増すにつれて遠くにジョージタウンの街並みとペナン大橋、対岸のバターワースまで見渡せるようになった。頂上に着くと、街の喧噪から離れた涼しい空気に包まれ、真夏のペナンとは思えないほど過ごしやすかった。

山頂エリアには展望デッキやカフェ、英国風の洋館を改装したレストランが点在している。展望台からは海峡を挟んだ本土側まで見渡せ、眼下に広がる赤茶色の屋根と高層ビルが印象的だった。少し歩くとヒンドゥー寺院やモスクが並び、ペナンらしい多宗教の共存を象徴する光景も見られた。静かな自然歩道を散策していると、鳥のさえずりや木々を渡る風の音だけが響き、都会とは別世界の時間が流れていた。ペナン島全体を一望できる景観と涼しい気候は、ジョージタウン観光の合間に心を休める場所として格別であり、ペナンの自然の豊かさを改めて感じさせてくれた。                              次にペナン島の中心部から少し離れた高台にある仏教寺院 極楽寺(Kek Lok Si Temple) を訪れた。ここは東南アジア最大級の仏教寺院のひとつとされ、広大な敷地に本堂や塔、無数の仏像が点在している。                                           境内に入るとまず目を引いたのが、壁一面に小さな仏像が並ぶ大きな礼拝堂だった。金色に輝く本尊が中央に鎮座し、左右には何段にも積まれた灯籠が立ち、参拝者が祈りを捧げていた。堂内には普賢菩薩(Samantabhadra Bodhisattva)や観世音菩薩(Avalokitesvara Bodhisattva)の説明が掲示され、それぞれ「大行大定」「大慈大悲」を象徴する存在として紹介されていた。静かに響く読経と線香の香りが相まって、厳かな空気に満ちていた。                               さらに坂道を上がると、ペナンの街並みを一望できる七層のパゴダ(萬佛塔)がそびえていた。中国式、タイ式、ビルマ式の建築要素が一つにまとめられた独特の塔で、現在も修復作業が進んでおり職人が高所で作業する様子が見えた。途中の庭には赤い屋根の東屋と仏像が点在し、熱帯の木々に囲まれた落ち着いた雰囲気が漂っていた。                             極楽寺は単なる観光名所ではなく、地元の信仰と文化が息づく重要な寺院であることが伝わってきた。多彩な建築様式と無数の仏像、そして静謐な祈りの場として、ペナンの宗教的多様性を象徴する場所だと感じた。                                         その後フライトの時間をドッグカフェで満喫して、マレーシアでの9日間が終了した。                       (情報電子工学科4年 藤重 達拓)

 

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