画像工学(Image Processing Engineering)
本科選択・必修開設時期単位数授業形態担 当
情報電子選択5年2講義杉村敦彦
【授業の概要】
パーソナルコンピュータでも簡単に画像処理を行えるようになった。このことにより、先端技術を駆使した画像処理が盛んになってきている。一方で、テレビジョンなどの従来からの画像処理技術がある。画像技術について新旧の2つの面から、画像工学について学ぶ。
【授業の進め方】
前期は講義が中心で、適時演習問題を行い理解度を確認する。後期も講義が中心であるが、各テーマごとに計算機を用いた演習を行い、理解を深める。なお、授業の理解を高めるために予習復習が必須である。
【授業計画】 【授業項目】 【内 容】
1 回 ガイダンス シラバスを用いた授業説明。身近な映像機器やテレビジョンの歴史など。
2 回 画像入力装置 真空管方式の画像入力装置や、CMOS、CCD、イメージスキャナ、ドラムスキャナなどの画像入力装置について。
3 回 画像出力装置(1) CRT、液晶ディスプレイなどの、ソフトコピー方式の画像出力装置について。
4 回 画像出力装置(2) 電子複写方式や加熱方式、インクジェット方式のプリンタなどのハードコピー方式の画像出力装置について。
5 回 テレビジョンの歴史と将来 アナログテレビジョンの歴史や、これからのテレビジョンについて。
6 回 画像の伝送(1) 画像の伝送方式や、画像通信の分類などについて。
7 回 画像の伝送(2) 画像通信の形態やモデル、多重化(TDM、FDM、CDM)などについて。
8 回 代表的な画像伝送方式 テレビジョン(NTSC、PAL、SECAM)や、JPEG、H.261、MPEGなどの代表的な画像伝送方式について。
9 回 中間試験 画像入出力装置や画像通信方式、テレビジョン、画像の伝送などに関する出題。
10 回 試験の解答 中間試験の解答と解説を行う
11 回 ファクシミリ ファクシミリのG1機からG4機について。
12 回 画像データの圧縮 画像データ、画像符号化の手順、符号化の分類などについて。
13 回 2値画像や濃淡画像の符号化 ランレングス符号化やチェイン符号化などの2値画像における符号化や、濃淡画像で用いられる予測符号化や変換符号化などについて。
14 回 動画像の符号化、符号化技術の標準化 フレーム間予測や動き補償フレーム間予測などの動画像における符号化や、ハフマン符号化や修正ハフマン符号化、MR符号化、JPEGなどの符号化について。
期末試験 ファクシミリ、画像の符号化、データの圧縮、多重化などに関する出題。
15 回 答案返却など 前期末試験の解答と解説を行う。
16 回 コンピュータによる画像データの取り扱い(1) コンピュータによる画像処理の基本的なことについて理解する。画像データの構成やコンピュータ内での取り扱いについても理解する。
17 回 コンピュータにによる画像データの取り扱い(2) 実際の画像ファイル(白黒濃淡画像)の取り扱いについて、ヒストグラムを求めることで理解を深める。[演習]
18 回 平滑化と雑音除去(1) 移動平均(加重マトリクス)や、メディアンフィルタによる画像の平滑化や雑音除去について理解する。
19 回 平滑化と雑音除去(2) 実際の画像ファイルで各種の移動平均やメディアンフィルタを実行してみることにより、理解を深める。[演習]
20 回 エッジ抽出(1) 画像におけるエッジの種類や、微分操作によりエッジが検出できることを理解する。また、微分オペレータの種類やその特徴を理解する。
21 回 エッジ抽出(2) ラプラシアン、ロバーツ、ソーベルオペレータによるエッジの抽出を実際に行うことで、理解を深める。[演習]
22 回 2値化(1) 2値化画像について、その特徴と利用方法について理解する。濃淡画像から2値化画像を生成する場合に、閾値を固定する方法と可変にする方法について理解する。
23 回 中間試験 コンピュータにおける画像データの取り扱いや、平滑化、エッジ抽出、2値化について理解しているかどうかを確認する出題。
24 回 2値化(2) 2値化処理について、固定閾値の求め方や、動的な閾値の求め方について演習を通して理解を深める。[演習]
25 回 2次元フーリエ変換(1) 1次元を拡張する形で、2次元フーリエ変換、2次元離散フーリエ変換を理解する。
26 回 2次元フーリエ変換(2) 2次元離散フーリエ変換、逆フーリエ変換を行うプログラムを作成することで理解を深める。[演習]
27 回 周波数領域でのフィルタ処理 2次元離散フーリエ変換、逆変換を用いた空間周波数領域でのフィルタ処理について理解する。
28 回 光と視覚 人間の視覚についての特徴や認知のしくみなどについて理解する。
29 回 放射量と測光量、光の発生 光の物理量である、放射量や、人間が感知する測光量、光の発生などについて理解する。
期末試験 基本的な画像処理や、画像の空間周波数領域への変換、逆変換や、周波数領域でのフィルタ処理などについて理解しているかどうかを確認する出題。
30 回 答案返却など 後期末試験の解答と解説を行う。
【到達目標】テレビジョンなどの従来からの画像処理技術や、コンピュータを用いた画像処理の基礎的なことを理解する。
【徳山高専学習・教育目標】C1【JABEE基準】1(2)d-1
【評価法】定期試験結果を80%、演習問題のレポートを20%で総合評価する。
【テキスト】ノート講義とする。
参考書:画像処理標準テキストブック編集委員会「画像処理標準テキストブック」財団法人画像情報教育振興協会
【関連科目】専攻科:システム計測工学(1年)、認識工学(2年)、画像処理応用(2年)