創造演習(構造デザイン系)(Creative Practice for Structural Design)
本科選択・必修開設時期単位数授業形態担 当
土木建築必修5年前1演習海田辰将  橋本堅一  劉 懋
【授業の概要】
 本授業では、これまでに学んだ力学・材料・情報処理・製図・実験などの知識を応用して複数人で1つの構造模型を製作し、プレゼンテーションおよび載荷実験を行って性能を評価する。製作する模型および載荷条件等は、全国高等専門学校デザインコンペティション(通称:デザコン)の構造デザイン部門における課題を反映したものを設定する。優秀な作品を製作したチームについては、当該年度に開催されるデザコンの校内予選に参戦し、本選を目指すことも視野に入れている。本授業では、単に作品を作ればよいというわけではなく、作品完成に至るまでの一連の作業において、1人1人の得意分野と個性を発揮し、チーム内で何度も議論を繰り返しながら作品を作り上げていく『過程』を重要視する。そうすることで他人と協同して技術的課題をクリアするための基本的なコミュニケーション能力と総合的なデザイン能力を身につける。計画→設計→製作→評価の過程を通じ、多くの「どうしていいか分からない」の壁に突き当たると思われるが、これまでに学んだ力学知識に加えてCAD、Word、Excel等の電子ツールを活用し、最終的には自分たちでクリアしていくことに期待する。
【授業の進め方】
 本授業では、デザコンに馴染みのない学生が大半であることから、課題が公表されるまでは過去のデザコン課題や入賞作品の解説、材料の構造部材としての性質、接合法の基本といった共通事項を講義形式で解説する。課題発表後は、チーム内で作品のイメージを出し合い、仕様を確認しつつ必要な情報を調査して議論を繰り返し、CADによる設計図・部材計算表等を添えてコンセプト案を提出する。そして授業の中盤〜後半では実際に桧木材等の材料を使って作品を製作し、作品に関するプレゼンと載荷試験を実施する。最終的な成果物として、プレゼン資料・設計図面・部材計算表等の資料を提出する。なお、チーム編成後の授業については、各チームで計画立てて自主的に作業を進めるスタイル(演習形式)を基本とするが、本授業内容を確実に身に付けるため、予習復習を必ず行うこと。予習は、構造力学やCAD基礎の内容を参考にし、復習のために教員や班員と議論した内容は記録しておくこと。
【授業計画】
【第1週】希望分野の選択、チーム決め、概説

 ・本授業で取り組みたい分野(構造デザイン系・建築設計系)を調査し、割り振りを決定する。
  希望者が著しく偏る場合には、分野間で人数を調整することがある。
 ・当該年度に開催されるデザコン構造デザイン部門の競技要項が発表されていれば、その解説を行う。
 ・未発表の場合は、材料の接合方法や部材加工の方法、使用工具等について説明する。
 ・デザコン競技要項に倣い、4〜6人で1チームを編成する(学年混成・くじ引きによる)。
 ・チーム内での役割分担(リーダー、設計担当、製作施工担当、管理担当など)を決める。

【第2〜3週】コンセプト案の作成&概略設計

 ・デザコン競技要項に則り、1人1つ以上の作品コンセプト案を作成し、提出する。
 ・各人が作成したコンセプト案を持ち寄り、チームでデザインの方針を1つ決める。
 ・方針が固まったら、直ちに概略設計を行う(GW明けを目途に完了)。

 ★ 全員が作品紹介文(コンセプト案)を提出する。
   様式例:@作品名 A概略図 Bコンセプト(300字以内)C作品のアピールポイント(300字以内)

【第4〜8週】1/2スケールモデルの製作・評価&フルスケールモデルの計画・設計

 ・作品の完成イメージを表現した1/2スケールモデルを製作し、作品イメージを共有するとともに製作上の問題点について議論する。
 ・1/2スケールモデルと並行し、作品の詳細設計(設計図面、部材計算表、構造計算等)を行う。
 ・前期中間試験までに部材計算表を提出し、材料を発注すること。
 ・チームに1冊ずつノートとA4ファイル(★)を配布するので、全ての資料はこれらに綴じる。
 ・授業中は基本的に各チームで進めることとし、担当教員は質問やアドバイスに適宜応じる。

【第9〜13週】フルスケールモデルの製作

 ・設計図面および部材計算表に基づいて計画的に作品を製作する。
 ・授業時間内に終わらない場合は、放課後などの時間を有効に利用すること。
 ・授業中は基本的に各チームで進めることとし、担当教員は質問やアドバイスに適宜応じる。
 ・作品が完成したら、パワーポイントによるプレゼン資料を作成する。

【第14 or 15週】プレゼンテーション+載荷実験

 ・載荷実験は、デザコンにおける作品の製作規定および競技規定に基づいて実施する。
 ・載荷実験の前に、作品のデザインをアピールするためのプレゼンテーション(5分程度)を行う。

  ※ 成績評価資料として、予め配布したA4ファイルに綴じた設計図書(★)を提出する。
    提出された議論メモ、CAD図面、部材計算表等の設計資料を総合的に評価する。
【到達目標】・自身の得意分野や個性を活かし、他のメンバーと協同した仕事(作業)ができる
・独自性のある明確なコンセプトを持った作品を設計・製作・アピールできる
・技術的な課題をクリアするために、専門知識を活かした議論ができる
【徳山高専学習・教育目標】C1【JABEE基準】1(2)d-3,e,g,i
【評価法】コンセプト案(10%)・1/2モデル(10%)プレゼン(30%)・耐荷性能(30%)・取り組み姿勢およびチームへの貢献度(20%)を基に、成績を総合的に評価する。
【テキスト】デザコンホームページ http://デザコン.com/
※過去の大会へのリンクあり
【関連科目】構造力学基礎(CA2,3)、建築一般構造(CA3)、構造力学(CA4)、鋼構造学(CA4, CA5)、工学デザイン(CA4, CA5)、工学実験I(土木系)(CA4)、鉄筋コンクリート工学(CA4)