応用解析学概論(Introduction to Applied Analysis)
本科選択・必修開設時期単位数授業形態担 当
一般科目選択4年3講義山本 拓生
【授業の概要】
工学の専門科目を学ぶために必須と思われるベクトル解析・フーリエ解析・ラプラス解析・複素関数論を解説する。数学的厳密さよりも、実際に計算し応用できるようになることを目的とする。
【授業の進め方】
教科書を参考にしつつ講義、演習を行う。演習では問題を指定し解答を板書してもらう。また、レポートを課すことがある。本授業の理解を高めるためには予習復習が必須である。
【授業計画】 【授業項目】 【内 容】
1 回 ベクトルの復習とベクトル値関数 数学IIBで習ったベクトルに関して簡単な復習を行う。また数学IIAで習った関数の拡張概念であるベクトル値関数について学ぶ。
2 回 曲線の長さと曲面の面積 曲線・曲面をベクトル値関数で表し、その長さや面積を求められるようにする。
3 回 スカラー場とベクトル場及び勾配 例を交えてスカラー場とベクトル場を解説する。ナブラ演算子と勾配について学ぶ。
4 回 ベクトル場の発散と回転 発散と回転を定義し、計算ができるようにする。
5 回 線積分と面積分の計算 線積分と面積分を定義し、計算ができるようにする。
6 回 ガウスの定理と発散の意味 ガウスの定理の証明の概略を示し、発散の直感的意味について学ぶ。また、電磁気学との関連性について述べる。
7 回 ストークスの定理と回転の意味 ストークスの定理の証明の概略を示し、回転の直感的意味について学ぶ。また、電磁気学との関連性について述べる。
8 回 中間試験 以上の範囲で試験を行う。
9 回 関数空間の直交関数系と内積及びフーリエ級数の意味 3次元ベクトルとの類似からフーリエ級数を解説する。ベクトルの成分に当たるものがフーリエ係数であることを理解する。
10 回 フーリエ級数の計算 具体的にフーリエ級数を求められるようにする。一般の周期関数について理論の拡張を行う。
11 回 フーリエ変換の定義と計算 フーリエ級数の周期を拡張することによってフーリエ変換を直感的に理解し、計算できるようにする。
12 回 フーリエ変換の性質及び畳み込み フーリエ変換の持つ種々の性質を理解する。また、応用上重要な畳み込みを定義して計算してみる。
13 回 サンプリング定理 サンプリング定理を証明し、意味を説明する。
14 回 ディラックのデルタ関数とへヴィサイドのステップ関数 工学で重要なデルタ関数とステップ関数を用いた計算を行う。
期末試験 以上の範囲で試験を行う。
15 回 答案返却など 答案返却及び解説を行う。
16 回 複素数の復習 1年次に倣った複素数について復習を行う。
17 回 ラプラス変換の定義と計算 フーリエ変換の変形としてラプラス変換を導入し、いくつかの計算を行う。
18 回 相似性と移動法則及び微分積分法則 ラプラス変換に対する種々性質を示し、実際に計算に用いてみる。
19 回 逆ラプラス変換とへヴィサイドの展開定理 逆ラプラス変換と変換表の使い方について学ぶ。
20 回 微分方程式とラプラス変換 ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことを学ぶ。
21 回 ラプラス変換と畳み込み 応用上重要な畳み込みとラプラス変換について述べ、計算してみる。
22 回 古典的制御と線形時不変システム LTIの安定性について簡単なモデルを扱い、ラプラス変換の応用に触れてみる。
23 回 中間試験 以上の範囲で試験を行う。
24 回 複素関数の定義と性質 複素数が変数の複素数値関数を学ぶ。複素関数論における、べき・指数・三角関数について学ぶ。
25 回 複素関数論と多価関数 対数関数と無理関数について簡単に触れる。
26 回 複素関数の微分積分 正則関数及び複素積分について学ぶ。簡単な計算ができるようになることを目的とする。
27 回 コーシーの定理と積分定理及びグルサの定理 最も重要なコーシーの定理の意味を学ぶ。
28 回 正則関数のテイラー展開と特異点周りのローラン展開 正則関数はいつでもテイラー展開できる事、孤立特異点周りでのローラン展開を学ぶ。
29 回 留数定理と実積分 ローラン展開を用いて留数定理を証明した後、実積分の計算に応用する。
期末試験 以上の範囲で試験を行う。
30 回 答案返却など 答案返却の後、解説を行う。
【到達目標】応用解析学を理解し、教科書の問と練習問題の70%が自力で解けるようになる。
また、各自の専門分野に対する理解を深める。
【徳山高専学習・教育目標】A1【JABEE基準】1(2)c-1
【評価法】前期:中間試験50%、期末試験50%、…@
後期:中間試験50%、期末試験50%、…A
最終評価:(@×1/2+A×1/2)*0.7+平常点
(ただし上記以外にレポート等を課すことがある)
【テキスト】[テキスト] 新 応用数学, 佐藤志保 他, 新日本図書

[参考文献]
・ベクトル解析 (工学基礎演習シリーズ2), H.P.スウ, 森北出版

・Vector Calculus (Springer Undergraduate Mathematics Series), Springer

・フーリエ解析 (工学基礎演習シリーズ1), H.P.スウ, 森北出版

・An Introduction to Laplace Transforms and Fourier Series (Springer Undergraduate Mathematics Series) , P. Dyke , Springer

・制御工学(第2版) フィードバック制御の考え方, 斉藤 制海, 森北出版

・Schaum's Outline of Advanced Mathematics for Engineers and Scientists (Schaum's Outlines), M.Spiegel, McGraw-Hill Education

・複素関数入門 (現代数学への入門), 神保 道夫, 岩波書店

・Complex Variables and Applications, J.Brown and R.Churchill, McGraw Hill Higher Education
【関連科目】数学全科目、専門科目多数