基礎工学実験(Basic Technical Experiment)
本科選択・必修開設時期単位数授業形態担 当
土木建築必修3年2実験島袋淳 海田辰将 橋本堅一 温品達也 上俊二 桑嶋啓治
【授業の概要】
実践的技術者を育成するうえで、重要な実務にすぐに役立つ技術やJIS規格にある重要な実験方法などを修得するとともに講義内容を体験的に理解する。またレポートの作成により、技術者として最も必要な考察能力を養う
【授業の進め方】
基礎工学実験は材料実験、土質実験の二つに分けて行い、材料実験は通年、土質実験は後期開講の半期である。その授業形態として、材料実験は5人/班で行い、前期と後期でテーマを二つに分ける。二つに分けたテーマの中に前・後期それぞれ5つの課題を設ける。前期は主にコンクリートの性質及びその材料の特性について、後期は主に鉄筋及びコンクリートの強度・変形特性について実験を進める。前・後期の5つの課題に対して、すべてレポートを作成し、前・後期の各テーマ終了後にはまとめとして、前・後期の各課題について学んだ事もしくは疑問に思った事を各班で検討し、プレゼンテーションを行う。また、欠席したものについては、原則として補講を行う。
 後期から開講の土質実験は4人/班で行い、1〜5のテーマをローテーションを組んで行う。実験終了後は、実験で得られた結果を考察し、レポートとしてまとめる。全てのテーマ終了後は、一つの実験テーマに関して、全ての班の実験データをまとめ、プレゼンテーションを行う。また、欠席したものについては、原則として補講を行う。
【授業計画】
授業計画は以下に定めるとおりである

○前期(土質実験は行わない。測量実習と並列開講である。)
1. コンクリートの配合設計(レポート1)
  内容:目標強度、目標スランプを設定し、セメント、骨材、水、空気がどれだけ必要かを計算し、配合設計の手
     順を理解する
2. コンクリートの打設(レポート2)
  内容:1.で計算した量を用いて、実際にコンクリートを作製し、コンクリートの打ち込み作業を把握する
3. 細骨材の密度および吸水率試験(レポート3)
  内容:JIS規格で定められた手法に則り、細骨材の材料特性を把握する
4. 粗骨材の密度および吸水率試験(レポート4)
  内容:JIS規格で定められた手法に則り、粗骨材の材料特性を把握する
5. コンクリートの強度試験(レポート5)
  内容:2.で作製したコンクリートを用いて、コンクリートの強度特性を把握する
6. プレゼンテーション
  内容:上記1〜5の課題に対して、疑問に思った事、学んだ事などを各班でテーマを決めて、発表を行う。発表
     は15分/班を目安とし、パソコンによりプレゼンテーションソフトを用いて1人1画面は必ず発表し、
     発表能力を養う

○後期
材料実験:島袋、海田、橋本、温品
1. セメントの密度試験(レポート6)
  内容:JIS規格に則り、骨材の密度試験方法と原理的に異なるセメントの密度試験方法を学び、セメントの材料
     特性を把握する
2. 鉄筋の引張試験(レポート7)
  内容:鉄筋として用いる鋼材はJISに適合する引張強さ、降伏点及び伸びを持たなければならないため、それを
     知るための試験方法を把握する。
3. 鉄筋の応力−ひずみ試験(レポート8)
  内容:鉄筋の引張力に対する強度・変形特性を知り、コンクリートの補強材として用いられる鉄筋の材料特性
     を把握する。
4. 骨材のふるい分け試験(レポート9)
  内容:骨材のふるい分け試験方法を学び、細骨材及び粗骨材の違いを把握し、両骨材の粒度特性を把握する。
5. コンクリートの応力−ひずみ試験(演習)(レポート10)
  内容:コンクリートの応力−ひずみ試験結果をもとに、弾性係数、ポアソン比の計算方法を理解する
6. プレゼンテーション
  内容:上記1〜5の課題に対して、疑問に思った事、学んだ事などを各班でテーマを決めて、発表を行う。発表
     は15分/班を目安とし、パソコンによりプレゼンテーションソフトを用いて1人1画面は必ず発表し、
     発表能力を養う

土質実験:上、桑嶋
1. 密度試験(レポート1)
  内容:土の最も基本的な物理量である土粒子の密度を求める方法と、その原理を学ぶ。
2. 粒度試験(レポート2)
  内容:土を構成する土粒子径の分布状態を調べるための、ふるい分析と沈降分析の試験方法を学ぶ。
3. 液塑性試験(レポート3)
  内容:土の液性限界、塑性限界および塑性指数を求める方法を学び、含水比と土の状態を把握する。
4. 透水試験(レポート4)
  内容:定水位透水試験と変水位透水試験を行い、土の透水係数を求める方法を学ぶ。
5. 締固め試験(レポート5)
  内容:締固め施工管理時に必要な最適含水比と最大乾燥密度を求める方法を学び、含水比と土の締固め状態を把
     握する。
6. プレゼンテーション
  内容:一番最初に行った実験テーマに関して、他の班の実験データをまとめ、プレゼンテーションを行う。発表
     は15分/班を目安とし、パソコンによりプレゼンテーションソフトを用いて1人1画面は必ず発表し、
     発表能力を養う。

【到達目標】土木材料の性質、及びその調べ方を修得する。また、各課題の考察とプレゼンテーションを行うことで、疑問や興味を持ち、技術者に必要な問題追究能力を身に付けることを目標とする。
【徳山高専学習・教育目標】B1【JABEE基準】
【評価法】材料実験・土質実験ともに以下の3項目を満足していれば、最低60点の評価をする。
@全実験への参加、A期限内にレポートを提出、Bレポート内に実験結果の記入

また、材料実験・土質実験でのそれぞれの評価方法は以下のとおりである。

○材料実験
1)全10課題に対して、すべてのレポートを提出する事により評価の対象とする。よって一つでも未提出であれば、単位の取得は不可である。
2)レポートの評価方法を以下に定める。また提出期限を厳守とし、提出期限を過ぎて提出した場合は減点の対象とする。
A:提出したレポートで実験を行う事が可能であり、また考察において実験結果だけでなく、文献、インターネット等で調べているもの。(100%)
B:提出したレポートで実験を行う事が可能であり、実験結果について的確な考察をしているもの(80%以上)
C:提出したレポートで実験を行う事が可能であるが、実験結果の考察が的確でないもの(60%以上)
D:提出したレポートでは実験を行う事が不可能か、もしくは考察が稚拙なもの(再提出)
以上、4段階の評価を用い、B以下については評価を上げたい場合、レポートの修正、再提出を認め、その内容がよければ加点の対象とする。
3)プレゼンテーションについては積極的に参加(質問及び返答など)したものは、評価の加点の対象とする。また、質問に対して返答できなかった班は、文献等で調べ、後日質問者に教えるとともに担当教官に答えをメールで提出する。
4)学年末評価計算式
  レポートの全評価点/10+プレゼンテーション評価点

○土質実験の評価手法として
1)全ての実験テーマに対して、全てのレポートが提出されていること。1つでも未提出であれば、単位の取得は不可とする。
2)レポートの評価および配点を以下に定める。また提出期限を厳守とし、提出期限を過ぎて提出した場合は減点の対象とする。
A:必要な項目が全て書かれているか。(表紙、実験項目、実験日、目的、試験用具、試験方法、試験結果、考察、設問)(60点)
B:考察は的確であるか。(20点)
C:設問には正しく答えているか。(20点)
ただし、必要な項目が抜けていた時、考察が稚拙なとき、設問に対して間違っているときは再提出とする。
3)プレゼンテーションについては積極的に参加(質問及び返答など)したものは、評価の加点の対象とする。また、質問に対して返答できなかった班は、文献等で調べ、後日質問者に教えるとともに担当教官に答えをメールで提出する。
4)学年末評価計算式
  レポートの全評価点/10+プレゼンテーション評価点


以上の事に対し、最終的な基礎工学実験の配点評価式を以下に示す。
最終評価点=材料実験得点×0.7+土質実験得点×0.3
【テキスト】土木学会:土木材料実験指導書、土質実験のてびき
【関連科目】建設材料学(1年)、構造力学(2、3、4年)、地盤工学(3、4年)