生体機械力学(Dynamics and Biomechanics)
専攻選択・必修開設時期単位数授業形態担 当
機械制御選択2年前2講義櫻本 逸男
【授業の概要】
 バイオメカニクスは、比較的新しい学問分野である。また、生物学的問題を対象とし、静力学、動力学、剛体の力学、流体力学などが含まれた古典力学の応用として位置づけられており、従来の工学の実用的な理論や方法論の発展形として認識されている。したがって、機械工学で学んだ事項は、そのまま生体組織の解析やそれに関する機器の設計に使用することが可能である。
 本授業では、生体そのものの解析やそれに関する材料などを学習し、力学のバイオメカニクスへの展開と適用を行うことを目的としている。力学の復習を織り交ぜながら、生体に関する知識の習得を行う。
【学修の進め方】
 授業は英語のテキストを使用し、基本的に輪講形式とする。各時間ごとに担当を決め、和訳したテキストの内容およびポイントとなるべき部分を説明させ、その都度こちらから質問や補足説明を加える。講義以外の自学自習により、次の授業範囲の予習を行い、担当者は和訳の作成を行う。なお、和訳は、後日提出させる。授業の内容を確実に身につけるためには、予習復習が必須である。
【授業計画】 【授業項目】 【内 容】
1 回 バイオメカニクスの概略 バイオメカニクスの授業の概略を説明する。
2 回 1章.力学の分類 9節まで
序論として、バイオメカニクスの基本的な概念を学習する。
3 回 2章.力ベクトル 力の定義や力系、力の種類、摩擦力などについて学習する。
4 回 3章.モーメントとトルク
(1節〜6節)
モーメントとモーメントベクトルの定義やその詳細について学習する。
5 回 3章.モーメントとトルク
(7節〜9節)
偶力や偶力モーメント、力の移動、ベクトル積としてのモーメントなどについて学習する。
6 回 4章.静力学
(1節〜7節)
平衡状態におけるシステムの解析を取り扱う。ニュートンの法則やフリーボディダイアグラムを学習する。
7 回 4章.静力学
(8節〜10節)
機械部品の支持や接続方法の種類とそれらの力の釣り合図を、バイオメカニクスの例との対照で考察する。
8 回 4章.静力学
(11節〜12節)
摩擦を含む系や重心の決定方法などについて学習する。
9 回 5章.バイオメカニクスへの静力学の応用(1〜4) 静力学的解析手法を具体的な人体のバイオメカニクスに応用する方法を学習する。
10 回 5章.バイオメカニクスへの静力学の応用(肘関節の力学) 肘関節に関して、構成する骨や筋肉の詳細な構造を学び、静力学を適用して各部に加わる力を解析する。
11 回 5章.バイオメカニクスへの静力学の応用(肩関節の力学) 肩関節に関して、構成する骨や筋肉の詳細な構造を学び、静力学を適用して各部に加わる力を解析する。
12 回 5章.バイオメカニクスへの静力学の応用(脊柱の力学) 脊柱に関して、構成する骨や筋肉の詳細な構造を学び、静力学を適用して各部に加わる力を解析する。
13 回 5章.バイオメカニクスへの静力学の応用(股関節の力学) 股関節に関して、構成する骨や筋肉の詳細な構造を学び、静力学を適用して各部に加わる力を解析する。
14 回 5章.バイオメカニクスへの静力学の応用(膝関節の力学) 膝関節に関して、骨や筋肉の詳細な構造を学び、静力学を適用して加わる力を解析する。
15 回 5章.バイオメカニクスへの静力学の応用(踝関節の力学)10節まで 踝関節に関して、骨や筋肉の詳細な構造を学び、静力学を適用して加わる力を解析する。
16 回 期末試験 バイオメカニクスの静力学への応用についての理解を問う英語による出題とする。
【到達目標】 生体に関する知識を習得し、機械工学で学んだ内容を生体組織の解析や材料などの開発設計に適用できる能力を養う。その観点から、複合分野にわたる知識を有機的に結びつける設計能力が養われる。
【徳山高専学習・教育目標】C1【JABEE基準】1(2)d-1
【評価法】【和訳】×0.2+【演習問題】×0.2+【輪講】×0.1+【期末試験】×0.5
【テキスト】教科書:N Ozkaya・M Nordin、「Fundamentals of Biomechanics」(Springer)
関連図書:日本機械学会編、「生体力学」(オーム社)
     日本機械学会編、「バイオメカニクス概論」(オーム社)
【関連科目】本科:工業力学(本科3年)、材料力学I(本科3年)