材料強度学(Strength and Fracture of Materials)
専攻選択・必修開設時期単位数授業形態担 当
機械制御選択2年前2講義西村 太志
【授業の概要】
機械や構造物の寸法は、安全でしかも経済的に使用する観点から決めることが肝要である。材料強度学では、本科で学んだ基礎的な科目をベースにもう一歩進み、材料の強度や破壊に関する現象を取り扱い、それらの現象をミクロとマクロの視点から理解して、機械の設計や安全性の保証に役立てることができるようにする。また、疲労などの破壊現象について物理的背景を明確にしながら理解する。
【学修の進め方】
授業は輪講形式で行う。その際、授業内容をまとめた資料を配布するとともにPowerPointを使用して説明することを求める。基本的に説明の時間は70分程度とし、後半の20分は質疑応答を行う。
授業以外の自学自習により、次の授業範囲の予習を行い、次回の担当者は資料を準備する。また、質疑応答で理解不足が感じられたところはレポートを課し、次回の授業で提出する。
【授業計画】 【授業項目】 【内 容】
1 回 オリエンテーション シラバスに基づき授業の目標と概要、授業計画ならびに評価方法について把握する。
2 回 材料強度学の歴史 破壊事故の実例を知り、材料強度学の必要性を理解する。
3 回 破損の法則 応力とひずみの関係について復習し、破損の法則を理解する。
4 回 破壊力学の基礎 き裂の力学として強度評価に広く使われている破壊力学を理解する。
5 回 強度の基本的特性1 最も基本的な引張強度について学んだ後、二つの破壊形態の特徴を理解する。
6 回 強度の基本的特性2 多軸応力下の強度および破壊じん性について理解する。
7 回 疲労強度1 疲労破壊の重要性を認識し、疲労強度に及ぼす切欠効果や寸法効果、平均応力などの影響を把握する。
8 回 疲労強度2 低サイクル疲労および変動振幅応力下の疲労強度について理解する。
9 回 疲労強度3 疲労におけるき裂の重要性を認識し、疲労機構を理解する。
10 回 高温強度 クリープおよび高温疲労について学び、高温における寿命評価法を理解する。
11 回 応力腐食割れ 腐食の機構について学び、応力腐食割れの特徴および機構を理解する。
12 回 腐食疲労 腐食疲労の特徴および機構を理解する。
13 回 強度設計 強度設計の基礎を学び、その手法を理解する。
14 回 事故解析 疲労強度学に基づく事故解析法について学ぶ。
15 回 期末試験 材料の変形や破壊について理解できているか確認する出題。
16 回 まとめ 答案を返却し解説を行う。
【到達目標】材料の強度や破壊に関する現象をミクロとマクロの視点から理解して、機械の設計や安全性の保証に役立てることができるようにすることが目標である。その際、基本的事項に対し、なぜそうなるのか本質的に理解することを求める。
【徳山高専学習・教育目標】C1【JABEE基準】1(2)d-1
【評価法】評価は、毎回の輪講における説明と受け答え、ならびに最終試験をもとに、目標に照らし合わせて行う。したがって、輪講は理解を深める上での手段とみなす。具体的には輪講で提出した資料30%、最終試験を70%で評価する。
【テキスト】日本材料学会編、「改訂 材料強度学」(日本材料学会)
【関連科目】本 科:材料学、材料力学、弾塑性論、機能材料
専攻科:弾性力学、材料設計工学、CAE