第26回卒業式 及び 第8回専攻科修了式

式辞  徳山工業高等専門学校長 天野 徹

 本日、ここに、ご来賓並びに多数の保護者の方々をお迎えして、徳山工業高等専門学校第26回卒業式及び第8回専攻科修了式を挙行できますことは、本校教職員並びに在校生一同の大きな喜びであり、ご臨席のみなさま方に対し、心からお礼を申し上げます。
 ただいまご覧いただきましたように、それぞれの課程を修めた卒業生107名、専攻科修了生15名、合わせて122名の若者が、本日、この学舎から、新しい道を求めて、巣立っていくこととなりました。彼らの新しい門出を迎え、これまで彼らを支え、励まし続けて頂いた保護者の方々、関係者の方々のお喜びはいかばかりかとお察し申し上げます。みなさま方のお力添えに対し、本校を代表して、改めてここに、感謝の意を表させて頂きたいと存じます。
 卒業生の中には、2名の留学生が含まれています。母国に思いを馳せながら、徳山高専において勉学に励んだ、マニーシャさんとディネーシュさん。その向学心と努力に対して、お二人のお国スリランカの国旗を日の丸とともに掲げることにより、敬意を表したいと思います。同時に、彼らを暖かく育んでくださった周南市、周南地域のみなさま方に、彼らとともに、感謝の思いをお伝えいたしたいと思います。

 卒業生、修了生のみなさん。おめでとうございます。
 今、みなさんは、そこにあって、ここ徳山高専で過ごした日々のことを、それぞれに感慨深く思い出しておられることと思います。私自身も、たった今、みなさん一人一人に、卒業あるいは修了の証書をお渡ししながら、胸の中をよぎるものの多さとその熱さに、とまどうような思いでした。また、みなさんの中には、新しい道に挑もうとする者の常である、かすかな不安を感じている方がいらっしゃるかも知れません。旅立ちにあたって、そのような不安を抱くことは、誰しもあることです。
 しかし、一つはっきり言える事があります。それは、今、みなさんの胸の内に去来しているであろう、この数年間の徳山高専での生活。その中で、伝え、伝えられたこと、共に作ったこと、競ったこと、そういった諸々の活動を通じてみなさんが培ってきた力は、みなさん自身が感じている以上に強く、大きいものであるということです。その力をもってすれば、遅かれ早かれ、新しい道を自信をもって歩いていけるようになると確信しています。私は、いえ、私だけではありません、今日ここにお集まりの方々は皆、みなさんがそういう力を身につけたことを感じ、確信し、そして誇らしく思っているのです。

 そのようなみなさんに、いまさら、この場で、多くを付け加える必要があるとは思えません。したがって、これからのみなさんの将来への期待をこめて、一つだけ、お話したいと思います。それは、「変化を自らの糧にせよ。」ということです。
 みなさんもご存知のとおり、二十一世紀を迎えて以来、国の行政機関の整理・統合、公団の民営化、銀行を始めとする民間企業の吸収・合併など我が国の社会は様々な変化を見せています。かってのような急激な経済成長が見込まれない以上、これからも、このような変化と模索の繰り返しが、当分の間、続いていくのは間違いありません。
 変化に対応するには、大変なエネルギーが要ります。今まで自分が信じてきたものや慣れ親しんできたやり方を変えざるを得なくなるわけですから、大変な労力が必要です。ですから、変化に目をつぶったり、変化の波から逃れたいと思ってしまうことがあるかも知れません。
 しかし、よく考えて見ますと、うまく変化の波に乗りさえすれば、自分のめざすところに向かう大きな力を得ることもできるのです。変化は、特にみなさんのようにこれから船出をしようとしている若い人達にとって、飛躍するためのとても良い機会なのです。

 変化を好機として、飛躍するためには、大切なことが二つあります。
 一つは、変化の波に備え、準備をしておくことです。何の準備もなく海に飛び出すのは、ただただ溺れにいくようなものです。みなさんのめざすところに向かうためには、大海原を切り開く船、燃料や資材、気心の知れた仲間、などなど準備すべきものが色々あります。中でも、最も必要なのは、変化を読みとる力をつけておくことです。広く世の中の動きにアンテナを張り、得られた情報を自分の力で分析することです。みなさん自身のめざすところ、つまり、みなさん自身の夢に照らして、世の中の動きを分析しておくことが大切なのです。
 変化を自らの糧にして飛躍するためには、もう一つ大切なことがあります。それは、準備が整うのを待っていてはいけないということです。船出の準備が整うのを待っていると、潮時を逃します。夢を実現するチャンスだと感じたら、迷わず飛び出さねばなりません。準備が足りなくて、最後は手で漕ぐようなことになったとしても、目指すところさえはっきりしていれば、必ず前に進めます。二度と来ないかも知れない良い機会をしっかり捉えて、一歩を踏み出す勇気と自信をもつことが大切なのです。

 繰り返します。来るべき飛躍の時に備えて、世の中の動きに目を向け続けて下さい。そして、変化の中にある好機を逃さず、皆さん自身の夢の実現に向かって一歩を踏み出す勇気を忘れないで下さい。
 みなさんの周りで次々おこるであろう様々な変化は、皆さんが大きく飛躍するチャンスなのです。皆さん自身の若さとここ徳山高専で培った力を信じて、みなさんの夢の実現に邁進して下さい。

 さて、みなさん。昨年暮れに、町中に徳山高専のサテライト「高専夢広場」がリオープンしたことはご存知だと思います。地元の方々と徳山高専の交流の拠点として開設しているものですが、卒業生、修了生のみなさんの連絡や情報交換の拠点としても活用して頂けたらと思います。徳山高専、そしてここで知り合った仲間達は、みなさんの将来を、期待を込めて、見つめています。ここで学んだことに、自信と誇りを持って、それぞれの道を力強く歩んでいってください。

 最後に、みなさんにお会いできたこと、そしてみなさんの門出に栄誉ある役割を果たすことができたことに、心から感謝して、式辞といたします。

平成16年3月18日
徳山工業高等専門学校長    天野 徹